強い骨をつくるには骨密度だけでなく「骨質」が重要
日本の骨粗鬆症の患者は、予備軍も含めると1100万人に達する。治療には、骨の中にカルシウムがどれだけ詰まっているかを示す「骨密度」を高めることが重要とされてきた。しかし、現実には、骨密度が高くても骨折を繰り返す高齢者が多い。そこで、骨の成分の50%を占めるコラーゲンが注目された。
コラーゲンは骨の中に「網目状」に張りめぐらされていて、そこにカルシウムが結合して骨が形成されている。建物で言えば、コラーゲンが鉄筋、カルシウムがセメントに当たる。だから、カルシウムが十分でも、コラーゲンがしっかりと張りめぐらされていないと、骨は強くならない。
骨の中のコラーゲンは、繊維状に規則正しく連結した「架橋(かきょう)構造」を形成し、骨を強く、柔軟にしている。ところが、「架橋」には、コラーゲンを規則正しく連結する「善玉・架橋」と、無秩序にバラバラに連結した「悪玉・架橋」があり、「悪玉・架橋」が多くなると、骨は単に硬いだけで弾力がなく、小さな衝撃で骨折することが判明した。
こうしたコラーゲンの連結構造に着目して、骨の実際の強度を示す指標が「骨質」で、2002年以降、米国でも日本でも、骨粗鬆症治療におけるガイドラインになった。
「骨質」が低い人には、血液中にビタミンB6・B12・葉酸が少ないという共通性があり、これらを補うことで改善されることがわかっている。いずれもビタミンB類で、もともと高齢者に不足しやすいビタミンだ。
日本では、東京慈恵医大で、患者600人にビタミンB6・B12・葉酸を投与する検証が行われた。2年後に追跡調査が行われ、ビタミンB6、B12、葉酸を摂取したグループは、そうでないグループと比較して「骨質」が改善され、骨折率も8分の1に低下したことが確認された。
「骨質」を高めるには、「悪玉・架橋」を減らすのに役立つビタミンB6・B12・葉酸を積極的に摂ることが必要だ。これにより「骨質」が高まり、骨粗鬆症の進行を防ぐことができる。
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