カルシウムはなぜ不足しやすいか?



健康トピックス


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 カルシウムは、人体に最も多量に必要なミネラルだ。なぜ、たくさん必要なのか?


 第一は、人体にズバ抜けて多く含まれるミネラルで、新陳代謝によって、たくさん失われるからだ。カルシウムは、成人の体重の約2%を占め、全部で1kg以上ある。ほとんどはリン酸カルシウムの形で骨に含まれ、細胞の新陳代謝にともなって、どんどん新しく入れ替わる。古い骨細胞を形成していたカルシウムは全部が老廃物として捨てられるのでなく、リンと分離してイオン化し、血液中に溶けたあと再び使われるが、それでも全体量が多い分、毎日かなりの量がリン酸カルシウムの形で排出される。


 第二は、リンの排出にともなって必然的に排出されるからだ。体内の余分なリンは、カルシウムと結合しないと排出されない。つまり、リンがカルシウムを奪う。肉類、乳製品、穀物など、ほとんどの食品はカルシウムよりもリンをたくさん含んでいる。さらに、清涼飲料や食品添加物には、リンの化合物(リン酸塩)が盛んに使われている。


 第三に、カルシウムは吸収されにくいミネラルだからだ。胃腸でイオン化されて吸収されるが、このとき、リンが多量にあると、カルシウムと結合してリン酸カルシウムになり、そのまま排出されてしまう。ほとんどの食物にはリンが多く含まれているから、カルシウムを十分に摂取しても、リンによってカルシウムの吸収が阻害される。その分、カルシウムが、たくさん必要になる。カルシウムは、もともと、吸収されにくいミネラルだ。


 第四は、食塩に含まれるナトリウムだ。ナトリウムも、排出される時、カルシウムを持ち出す。日本人は、昔から塩好きで、調味料や加工食品、外食には食塩が多く使われ、慢性的に塩分を過剰摂取している。その分、カルシウムが不足する。


 第五に、酵素の活性、代謝活動全般、毒素や老廃物の中和に、カルシウムが多量に消費されるからだ。カルシウムは血液中だけでなく、臓器、筋肉、神経など、全身のあらゆるところに含まれ、使われている。


 特に消費されるのは、糖分とタンパクの代謝だ。例えば、砂糖などの甘いものの代謝にカルシウムが使われる。粗糖や黒糖などの未精白の砂糖はカルシウムを含んでいるが、白砂糖は全く含んでいないので、白砂糖を多量に食べると血中のカルシウムが不足して骨や歯のカルシウムが使われる。ネズミの飼料を白砂糖で甘くして長期飼育すると、やがて骨粗鬆になって骨がボロボロになる。
 炭水化物と脂肪は、皮下脂肪などで貯蔵されるが、タンパク質は必要以上に食べると排出される。このときも、カルシウムが使われる。


 日本の土壌は火山灰質で、カルシウムが少ない。このため、飲料水や野菜、穀物にカルシウムが少ない。この点でも、日本人はカルシウム不足になりやすい。
 カルシウムの吸収力は年齢が進むほど低下する。更年期以降は、特に多く必要だ。